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知っておきたい女性の病気

日本で過去10年間、患者数が約2倍に増加

逆流性食道炎

胃酸が食道に逆流して胸焼け、物がつかえるなどの症状を引き起こす

過去10年間、日本で患者数が激増している逆流性食道炎。この病気は胃酸が食道に逆流して炎症を引き起こし、胸やけなどの症状が現われる病気です。

胃酸が逆流する理由に、下部食道括約部(かぶしょくどうかつやくぶ)の働きの低下があります。下部食道括約部は食道と胃の境目にあり、門のような役割を果たしています。通常は閉じた状態ですが、食事をするときに開いて胃に飲食物を通します。ところがさまざまな理由によってこの働きが悪くなり、胃酸が食道に逆流することがあります。

下部食道括約部の働きが悪くなる原因として挙げられるのは、食事の欧米化。肉や脂肪分の多い食事や香辛料、カフェイン、アルコールの過剰摂取は胃酸の分泌を活発にさせます。またカロリーの高い食事で肥満になり、お腹の脂肪が増えて胃が押し上げられ、胃酸が逆流しやすくなることも。

加齢により、下部食道括約部の機能が低下したり、背骨や腰が曲がることでお腹を圧迫して、胃酸が逆流することもあります。

そのほかにも、妊娠や便秘などの体の状態、下着や帯、コルセット、ベルトなどによる過剰な締め付けも、逆流性食道炎を引き起こしやすい原因といわれます。

薬物療法と生活習慣の改善できちんと治療すれば再発を防げる

逆流性食道炎の症状が見られたら専門医を訪ねましょう。診断では問診と内視鏡検査が行われ、内視鏡検査は食道の炎症の程度を確認するための検査です。口や鼻から細い管(内視鏡)を入れ、食道の状態をモニターで観察します。潰瘍(かいよう)やびらん(粘膜が荒れている様子)などが見つかった場合、逆流性食道炎と診断されます。

逆流性食道炎の主な治療方法は、薬物療法と生活習慣の改善です。

薬物療法で使用する薬には胃酸の分泌を抑えるもの、食道の粘膜を保護するもの、胃酸を中和するもの、食道の動きを良くするものなどがあります。

症状に適した薬を数日間服用すると、ほとんどの患者が胸焼けなどの自覚症状がなくなるという結果が出ています。

しかし、これは潰瘍、びらんなど食道の粘膜の炎症まで完治したわけではありません。自覚症状がなくなったからといって、薬の服用をやめると病気が治りにくく、また再発する可能性が高くなります。必ず医師や薬剤師の指示に従って薬を飲み続けることが必要です。

生活習慣の改善は日常生活と食生活の見直しに気を配りましょう。

日常生活では、胃や腹部を圧迫するような姿勢や、胃酸が逆流しやすい姿勢を取らないように心がけます。

食生活では、食事時間を規則正しくし、ゆっくりと時間をかけて食べましょう。過食や水分の摂り過ぎは腹圧を高くします。食べ物は消化が良く、ビタミンやタンパク質を多く含むものがおすすめです。反対に、脂肪を多く含んだもの、甘いもの、香辛料などは胃酸の分泌を促進させるため、できるだけ控えるようにしましょう。炭酸飲料は胃の中で炭酸ガスを発生して、胃を膨らますので要注意。アルコールは下部食道括約部を緩め、たばこは胃酸を中和させる唾液(だえき)を減らします。