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知っておきたい女性の病気

中高年だけの病気ではありません

子宮がん

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10代〜20代に激増中の子宮頸がんの早期発見には年に1度の検診が大事

子宮がんは、できる部位によって「子宮頸がん」と「子宮体がん」の2種類に分けられ、原因も発症年齢も異なります。特に、子宮頸がんは近年10代、20代の若年者に急増しています。

最近はっきりわかってきたのが子宮頸がんは、性交によるヒトパピローマウイルスの感染が原因だということです。ヒトパピローマウイルスは非常にありふれたウイルスで、いぼを作るのが特徴です。約100種類ほどありますが、すべてががんにかかわるものではなく、ハイリスク型といわれるものが特定されてきました。

欧米では16型、18型、日本ではこれに加え、52型、58型が、がんに関係するといわれています。このハイリスク型に感染し、持続的に残ると、前がん状態になり、数年後には子宮頸がんに発展することになります。

当てはまる人は検診を
最近、10代、20代に子宮頸がんが激増し、問題視されています。性体験の低年齢化や性交渉スタイルの多様化が背景にあります。

通常、がん年齢は40歳以上とされていて子宮がん検診は30歳以上が対象でしたが、平成16年からは20代からも必要になり、今では10代でも検診が必要です。

初期のがんには症状がありませんが、接触出血(性交渉時の出血)や、おりものの変化などが現れてくれば要注意です。こうした症状が起こる前に検診を受け、発見することが大切です。

一般的に「子宮がん検診」といわれているのは、子宮頸がん検診を指します。子宮頸がんは、頸部から採取した細胞を直接検査できるので、検出率が高いのが特徴です。ウイルスの種類もチェックできるので、将来のがんの確率も調べることができます。

当てはまる人は検診を
子宮は妊娠、出産にかかわる大切な場所ですから、定期的に検診を受ける必要があります。10代、20代は1年に1回、30代以上は2年に1回を心がけましょう。

0期といわれる初期の段階なら患部を切除するだけで、子宮体部を取らずに済みます。出産を経験していない若年層に増えていることを踏まえ、治療法も進化し、頸部のみを切除する特殊な手術法もあります。

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ワクチンで予防できるがん
しかし「自分だけは大丈夫」そんな油断が発生につながる

欧米では16型、18型のハイリスクウイルスに対するワクチンの投与が始まっています。日本においても、ワクチンの投与が始まりました。これによって若年者の子宮がんが減るとみられています。ワクチンによりがんが防げるというのも、子宮がんの特徴の1つです。

予防には、やはり感染を防ぐほかありません。避妊法を教えるだけの性教育ではなく、不特定多数との性交渉の自重など、将来のパートナーとだけ性交渉するという考え方を、若い世代に教える必要があります。「自分だけは大丈夫」という油断が発生率を上げることになります。

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不正出血に要注意!急増する子宮体がん

若年層に急増している子宮頸(けい)がんとは原因も、発症年齢も異なるのが子宮体がんです。寿命が延びたことや、生活スタイルの欧米化により急増しています。

子宮体がんは、閉経後の女性に多くみられ、平均年齢は50~60歳くらいです。逆に閉経後は子宮頸がんを発症する確率は低くなります。

症状は、不正出血で、特に閉経後の不正出血や、更年期である45歳以上の不正出血には注意が必要です。閉経後の不正出血の約10%に、子宮体がんが発見されるという報告もあります。症状が出たときはすぐに婦人科を受診してください。

子宮体がんの原因ははっきりしていませんが、ハイリスク対象と呼ばれる、子宮体がんになりやすい要因があります。

通常平均50歳くらいで閉経しますが、55歳を過ぎてから閉経した人、肥満体型や糖尿病の人、エストロゲンのホルモン単独療法を受けている人などがこれに当たります。未産婦の人もリスクが上がるといわれています。

子宮体がんも子宮頸がんと同様に細胞診をします。しかし痛みを伴うなど体への負担があるので、ハイリスク要因の人を選んで、検診をする必要があります。頸膣(けいちつ)エコーも併用するのが効率的です。

同じ子宮がんでも子宮頸がんと子宮体がんでは性質が違うということを覚えておいてください。