奈良医療ガイド なら元気NAVI

園児の歯の健康にはママの仕上げ磨きが一番です

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 奈良県歯科医師会は1914年に設立され、その後1947年に社団法人として認可された組織です。現在会員数は700名を超え、奈良県に暮らす皆さんの健康を願い、歯科医学医術の研究や歯科保健の普及に努めています。ホームページも充実し、歯や口元のケアに役立つ情報もタイムリーに更新しています。またお近くの歯医者さんをはじめ、休日診療や訪問診療、そして障がい者の方の歯科診療などの情報もアップしています。ぜひ毎日の歯のケアにお役立てください。
 ところで最近の子どもたちは虫歯が少なくなりましたね。文部科学省の平成25年度のデータによりますと、12歳児のDMF指数は全国平均で1.05、奈良県では0.99です。このDMF指数とは虫歯や抜けた歯、治療した歯の数を表した数値です。つまり奈良県では虫歯が一本もないお子さんが多くいるということです。これは歯が生え始めたころから、生えかわりが始まる幼稚園のころのケアができているとも言えますね。今回は園児や小さなお子さんを育てていらっしゃるお母さんに向けて、毎日の歯や口周りのケアについてお話を進めたいと思います。

乳歯のころから
しっかりと歯磨き習慣を

 小学校では給食の後の歯磨きタイムが確立されていますし、幼稚園や保育所においても、昼食後の歯磨きは励行されているようです。この食後の歯磨きをご家庭でも習慣づけるようにしてください。特にお休みの日や旅行先でも、歯磨き習慣は大切です。この年代に身に付けた歯磨き習慣は、大人になっても続くものです。虫歯のないきれいな歯で一生過ごすことも可能になります。
 ところで赤ちゃんの歯の生え始めは、大体生後6か月ころからですね。このころから毛先がゴムになっている歯ブラシを使って、お母さんと一緒に「歯磨き遊び」を始めてもいいでしょう。歯磨きは楽しいものだという意識を植えさせることも大切ですね。そして乳歯が全部生え揃うのが2歳半から3歳です。お母さんの目の届く範囲で、歯ブラシを持たせて「歯磨き遊び」をさせながら、歯磨きの習慣づけをしてください。
たまにですが、乳歯は抜けるものだから、歯磨き習慣は永久歯が生え始めるころからとお考えのお母さんがいらっしゃいます。これは絶対ダメですね(笑)乳歯にはもともと根っこがありますが、抜けた乳歯にはこの根っこがなくて歯の部分しかありません。つまりこの根っこが溶けることにより、永久歯が生える道筋を作ってくれるのです。乳歯が虫歯になれば、根っこの部分が正常に溶け出してはくれません。その結果、根っこが残ってしまい永久歯が生える場所がなくなります。永久歯が歯茎の横から生えたり、生えた時点で虫歯になっていることもあります。乳歯のころからしっかりとケアすることが大切です。

生えかわりの時期に
正しい歯磨きの習慣を

 5歳から6歳のころになると永久歯が生え始めてきます。幼稚園の年中さんくらいの時期になりますね。この生えかわりは個人差がありますので、小学校に入学してから始まるお子さんもいらっしゃいます。そして最初に生える永久歯が六歳臼歯です。この六歳臼歯は、第一大臼歯と呼ばれ、一番大きな歯で噛み砕く力も一番強い大切な歯です。しかし一番奥に生えますし、ゆっくりと生えてきますから、生え始めに気づかないこともあると思います。この時期こそ、お母さんの毎日の観察が大切です。乳歯のころからの「歯磨き遊び」を通じ、お子さんの歯の成長をしっかりと見守ってあげてください。
 また六歳臼歯は一番奥に生え始め、手前の乳歯に隠れて見えにくい歯ですし、生え始めは、表面のエナメル質が柔らかく虫歯になりやすい特徴があります。ていねいに歯ブラシを使わないと、磨き残してしまいます。毛先が小さな歯ブラシで、生え始めた奥歯にしっかりと当てるよう、また横からも当てるなど、磨き残しのないようにケアしてあげてください。お母さんの「仕上げ磨き」で、虫歯にならないお口の環境を作ってあげましょう。

歯ブラシはペンタイプで持ち
ショート・ストロークが基本

 歯ブラシの持ち方、動かし方にも注意が必要です。園児のころは歯の生えかわりが始まる、歯の成長期でもありますので、毛先の大きさが異なる数本の歯ブラシを揃えてあげてください。そして正しい歯ブラシの持ち方ですが、ペンを握るように指先で持ちましょう。ギュッと握るようなグリップ型は力が入り過ぎて、歯茎に負担をかけてしまいます。そして動かし方ですが、小刻みに動かすショート・ストローク型で歯磨きするよう、お子さんにも教えてあげてください。
 これは余談になりますが、歯ブラシの柄に丸い穴が開いているものがありますね。この穴は何のためにあるのかご存知ですか。歯ブラシを掛けるための穴ではないのです(笑)。昔の家の洗面所にはこの穴を使って、歯ブラシが並べ掛けてあったようにも思いますが、掛けるための穴ではありません。この穴にゴム製の専用部品を取り付け、歯や歯茎のケアをするためのものなのですね。もし歯ブラシを掛けたり、毛先を下にして置かれているなら毛先に水分が残りやすくなります。毛先を上にして乾燥しやすい状態で保管してください。

「噛む習慣」をつけさせましょう
「噛む」ことは脳の成長にもプラスです

 ファストフードをはじめ、外食産業の発達により、以前にも増して柔らかい食べ物が多くなりました。オムレツやハンバーグ、プリンなど、ご家庭の食卓にも柔らかい献立がよく並んではいませんか。特に幼少期に噛むことが少ないと顎(アゴ)の成長にも影響を与えます。顎がキチンと成長しなければ、永久歯がしっかりと揃って生える場所がなくなりますから、歯並びが悪くなり見かけが悪くなるだけでなく、虫歯になりやすくなったり、八重歯が生えたりするなどの症状が出やすくなります。
 最近、歯列矯正で歯科医院を訪れる子どもさんが多くなりました。これはお母さん方がお子さんの歯のケアをしっかりされていることも一因かと思います。しかし「噛む」ことが少なくなったことが、大きく影響しているのですね。顎の成長のためにも、しっかりと「噛む」習慣づけをしてあげてください。噛まない弊害は多いですが、よく「噛む」ことはプラスにしかなりません。「噛む」ことはお子様の成績向上や肥満防止にも繋がります。ぜひご家庭で、しっかりと「噛む」習慣をつけるようにしてください。
 「噛む」習慣づけのために、毎日のお料理に一工夫しては如何でしょうか。たとえば焼きそばの具材にキャベツの芯を少し混ぜるとか、カレーを煮込む際に、人参などを少し固めにしておくなど、噛みごたえのある献立を考えましょう。

おやつは一日一回がベスト
何気ない姿勢も歯の成長に影響を与えます

 お子さんの、「おやつ」の時間を決めていますか。昔は「3時のおやつ」と言って、一日1回が基本でした。今ではスナック菓子が豊富に出回っていますから、好きな時に好きなだけ食べることができるようになりました。「おやつ」の量、回数をしっかりと管理することも歯の健康には大切です。お菓子の回数が多いと、虫歯になりやすくなりますからね。
 また指しゃぶりをはじめ、爪を噛んだりすることも、顎の発達や歯の生え方に悪い影響を与えます。頬杖をついたり、片方だけで噛んだりする習慣があれば治してあげましょう。もちろん虫歯があれば噛みにくいですからから、片側噛みをします。すぐに歯科医院で治療を受けてください。また鼻が悪いと口呼吸をしてしまいます。こんな症状を見られた場合は耳鼻咽喉科で治療を受けることが必要です。
 お母さんの毎日の観察や「仕上げ磨き」の大切さをご理解いただけたかと思います。何か気になることがあれば、お近くの歯科医院にご相談ください。お子さんの歯を定期的に診てくれる、かかりつけの歯科医院を持てば安心です。その他、定期健診の機会も大いに利用してください。私たち奈良県歯科医師会は、お子さんの健やかな成長を見守り、日々の歯科診療活動に励んでいます。いつでもお気軽にご相談ください。

歯の磨き方

6歳臼歯の磨き残しに注意

歯の生え方

乳歯の根っこが溶けて永久歯が生えてくる

森口会長

奈良県歯科医師会 森口 浩充会長
「お母さんの仕上げ磨きが大切です」と森口会長

増田副会長

奈良県歯科医師会 増田 信一副会長
「噛むことは脳の発達にもプラスです」と増田副会長

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